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学問と芸術の違い

 学問と芸術の違い、ということですが、一見して二つは違うとぼんやりと思われるかもしれません。その違いは何ぞやと問われてすぐに答えることは出来ませんが、それぞれの中におそらく思いはあると思います。

 学問とは究めていくことであると言うことが出来そうですが、それを言うなら芸術もそうです。好奇心で動き出すのが学問でしょうか。それ以外にも動機はあるでしょうが、何か対象物があり、それによって心が動くことで、学問は始まりそうです。しかし、この場合においてもこれは芸術にも当てはまります。動機という点において、つまりスタート地点では2つの差は無いように思います。

 では途中や過程が違うのかと問われればそんなこともないでしょう。どちらも現実の観察、または想像上の考えを形に落としこんで行きます。

 ではゴールが違うのでしょうか。これが最も答えに近いような気がします。何を目的とするのか、ということが大きな違いのような気がします。もちろん学問、芸術の種類によって目的が違います。ですのでいくつか例を挙げて考えたいと思います。

 まずは数学や物理など、物事のメカニズムを解き明かしたりしていくものですが、これは芸術と共通する部分ももちろんありますが、違いがあります。それは、数学や物理などの学問が、具体的事象を抽象化していくのに対し、芸術においては、そうして抽象化したあとに再び具体的事象に落とし込みということをします。あくまで真理や法則といったものは、具体的事象を表現する上での道具の1つでしかありません。

 こうした学問においては、動機は具体的なものに動かされてのことかもしれませんが、抽象化していく上で具体例は必要なくなってしまいます。

 それでは応用物理などのように、何か目的のために学問をする、ということを考えます。学問がこの場合は道具になるわけですが、翻って芸術を考えてみると、何かのために芸術をする、ということにおいて、芸術が道具になることはありません。もちろん商業的なデザインなどにおいてはそう言い切れませんが、純粋な芸術においてはそう言えるでしょう。

 このようにして見るとあまり違いという違いはないのかもしれません。しかし、人の心、理性でない所を目指しているのが芸術であると思います。情緒であるのは芸術で、理性であるのが学問であると思います。

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