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「感情」の解剖図鑑:苫米地英人 「悲しみ」とは

「感情」の解剖図鑑について

 この本は、苫米地英人さんという、現在では自己啓発の分野でよく知られている方が書いた本です。苫米地英人さんは、コンピュータ科学の権威であるそうですが、一方で脳科学の分野にも詳しいそうで、この本は「感情」を脳科学の分野から考察したものです。

 内容としては、ネガティブな感情、ポジティブな感情の2構成になっていますが、それぞれの感情について、自分でも調べてみようと思いました。

悲しみとは

言葉から考える

まずは「悲しみ」という感情ですが、これがどういうものか考える上で、まずは言葉の視点から見ていこうと思います。

 「悲」で調べてみると、「かなしい、かなしむ」、「あわれみの心」、大きく分けてこの2つの意味があります。「かなしい」を漢字で表すと、「悲しい」、「哀しい」、「愛しい」ですが、3つ目の漢字まで考えると、いとしい、しみるような趣、つらい、くやしいなどの意味まであることになります。

 一般的な意味での「悲しい」から離れることになるため、今回は前の2つについてのみ考えていきます。以上から「悲しい」が持つ言葉のイメージを探っていきたいと思います。

 慈悲の心などは仏教由来のものですが、長年使われていく中で、かなしい、という意味に憐みの心というニュアンスも含まれてきたのではないかと思います。どちらかに大きく偏るということはあるでしょうが、基本的には「悲」のどちらの意味も同時に含んでいると考えてよいと思います。

 ではそれぞれの持つ意味についてじっくり考えてみると、まずは「かなしい」という言葉ですが、これは心の動きであることは間違いありません。ただ、何かがきっかけで起こる、もしくは何かを目的として起こるかどうかについては、はっきり言えません。理由もなく悲しくなる、ということが時たまあるからです。

 おそらく自分でも気が付かない、無意識の領域で起こっていることだったりするのでしょうが、自身で原因に気付けないことがあることを思えば、「かなしい」ことは、因果関係によって起こったものとは断言できません。

 そういった例外を除いて考えてみれば、基本的に「かなしい」ことは人(もの、生き物)への執着から生まれるように思います。

 親族が無くなった、恋人に振られた、大切にしていたものが壊れた、目標が達成できなかったなど、執着していたものが、無くなる、手元に無くなることで「かなしみ」は生じると思われます。

 では、例えば嫌なことについても考えてみます。ここでは会社を考えてみますが、毎日働くことが嫌、ということは良くあると思いますが、嫌だから悲しい、とはならないと思います。

 しかし、知り合いが成功した、など、自分が立てたかもしれない立場を意識することで、現状に対して「かなしみ」が生まれます。叶えられなかった夢への渇望、これも執着です。

 では、執着するものが何もない状況で、かなしいことは起こるのか考えてみます。普通のこと、あたりまえのことに対しても執着を感じなければ、かなしみは生まれないと思います。ここで、執着とは、固執する心もさしますが、他社への愛や、信頼、慈悲の心など、無関心ではないもので、さらに一段強い感情を指します。

 ちなみに、「あわれみの心」という意味での「悲しい」については、これは他者への関心ですから、もしかしたら「かなしい」という意味での「悲しい」を引き起こす要因になっているかもしれません。

 どちらの意味の「悲しい」においても、自他への方向を持った感情であると思われます。

科学的に考える

 脳科学的には、前頭前野が関わっていると言われています。物事の意味を理解して、悲しくなる、ということが往々にして起こるからです。

 例えば、自分が余命宣告されるだとか、現在起こっていないことに対しても悲しみを抱くということを鑑みても、前頭前野は大きく関わっているようです。苫米地さんは、前頭前野に存在する「自分はこういう人間である」というような信条を、ブリーフシステム(自我や世界観)と呼んでおり、これがバランスを崩したり、壊れたりする時に悲しくなる、というように言ってます。

 悲しいことである、と判断されると、ドーパミンの分泌が抑えられたり、ノルアドレナリンが分泌されたりします。

 ドーパミンは、動機、意欲、学習などに大きな関わりをもつため、それの分泌が抑えられるということは、やる気がなくなったり、頭が働かなくなったりするということです。

 ノルアドレナリンは所謂闘争と逃走(Fight-or-Flight)の状態を作り出す脳内物質であるので、それが増えるということは、身体的な緊張状態になり、言ってしまえば人間よりも動物に近い脳の状態になります。

悲しみを乗り越えるには?

 先の話の続きになりますが、まずは悲しみを生じさせ無いこと。つまり要らぬ執着は持たぬことです。もちろん他者への慈悲は必要ですので、必要以上のものについてです。

 気晴らしをする、というのも月並みですが良い方法でしょう。

 その他の方法については、この本に載っているので、よかったらそちらを参照してください。別の感情については、また別の機会に話したいと思います。

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