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神々の指紋:グラハムハンコック
一昔前に話題になったこの「神々の指紋」。簡単に言えば、オーパーツなどを研究、考察して、超古代文明があったことを示していく、というものです。(ちなみにオーパーツとは、それらがあった時代や場所にはそぐわない遺物のことを言います)
賛否両論というか、反対派の意見の方が多いかもしれませんが、読み物としてはロマンがあって面白いと思うので、紹介したいと思います。
まず示されるのは、ピーリー・レイースの地図という16世紀前半に書かれた地図の、ありえない点です。この地図は、16世紀に書かれたというよりは、過去に書かれた地図を書きなおした、というのが正しいです。そこには氷に覆われていない南極大陸の姿がありました。南極大陸は少なくとも1万年以上前から氷で覆われていたため、16世紀以前に氷のない南極大陸を描くことは不可能であったはずです。
そこで、著者グラハムハンコックは、この地図のもととなる地図が書かれたのは、実は1万年以上前でないかと言います。つまり一万年以上前に、航海技術を持ち、測量が出来、地図を描くための数学の知識を有していたものたちがいた、と主張しているわけです。
そんな馬鹿な、と思うかもしれませんが、読み進めるうちに本当にそうなのではないか、という気持ちになってくるから不思議です。
各地に残る、高度な知識を持つ謎の白人、ビラコチャの伝説。また、各地に伝わる洪水伝説と、氷河期の終わりの洪水の事実。そして地球の歳差運動と神話に登場する数字との関連。それらに共通する、一万年前を示す証拠の数々。各地の不可解な、例えばマチュピチュの高度な建造技術など、遺物を通して、はるか昔の文明の指紋が見えてきます。
作者は宇宙人説は唱えていない上、今より進んだ技術を持った文明があったとは言っていないので、あくまで今まで知られている文明より前にも、文明があったのではないかと言っているだけです。
年代の測定や推測も、もう少し古くてもいいのではないか、と各地の遺物を調査していく中で作者は主張します。ただ、その超古代文明があったとして、ではその文明はどうやって出来たのか、ということについては深く触れられていませんでした。遥か昔には、南極大陸にはどうやら大きな川があり、文明が出来得る環境があったとは述べていますが、実際どうなのかは全てが氷の下に埋まっているので分かりません。
この先技術が進歩するか、南極の氷が全て溶けてしまうかのどちらかで、事実ははっきりすると思います。後者であれば洒落になりませんが。
今後ジャレド・ダイアモンドの「銃、病原菌、鉄」を紹介するつもりではありますが、少しこの本について触れておきます。これも簡単に言ってしまえば、なぜヨーロッパの文明の方が先に栄え、アボリジニなどは未だに石器時代のような生活を送っているのか、ということを考察している本です。
その中で文明が発達する条件を述べていますが、例えば環境が豊富であること(高い地域低い地域など)、家畜化可能な動物が生息していること、南北ではなく東西に長いこと、などがその条件にあたります。また、言語の広がりかたなどから、技術の広がりなども考察していますが、「神々の指紋」では、それに対して矛盾するような箇所は無かったように思います。(見落としているだけかもしれませんが)
さらに、「銃、病原菌、鉄」の中で、突如現れた言語についても書いてありますが、本筋ではないので、なぜ発生したかについては触れていませんでした。こじつけるわけではありませんが、どうも関係あるように見てしまうのが人間の悪い癖のようです。関連性を見出してしまう我々は、天井の木目が顔に見えるわけです。
最初にも言いましたが読み物としても面白いですし、様々な文明の不思議な所を知ることが出来る、という意味でも大変面白いです。ロマンがあるのが一番大きいかもしれません。
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