スキップしてメイン コンテンツに移動

移転しました

記憶の宮殿

記憶の宮殿とは

ハンニバルシリーズに登場するこの言葉、記憶の宮殿。これは暗記法の一つです。暗記法とは、現在のように大量に記憶する媒体が存在しない時代に考えだされた方法で、自分の頭に忘れないように記憶することを目的としたものです。

 他にも語呂合わせなんかも記憶術の一つですが、どれも共通するのは、ある言葉やイメージなどから連想して元の記憶を引っ張り出す、という点です。完全に忘れてしまったという記憶であっても「きっかけ」があればすんなりと思い出すことも多いと思いますが、こうした記憶術は、そういう「きっかけ」を記憶していく方法であると言っても良いでしょう。

 記憶の宮殿は、場所法とも呼ばれることがあり、覚える対象物を場所と絡めることで、後で記憶を引き出しやすくするという効果があります。この方法を使えば、教科書や参考書の丸暗記も可能です。

 向き不向きがありますが、向いている人にとっては記憶の宮殿の構築からして楽しい作業なので、記憶する、という行為に向き合えるかと思います。どうしたら自分が覚えやすくなるか、ということについては人それぞれ、というしかないですが、その一つの方法として、この記憶の宮殿を試してみても良いと思います。

やり方

 場所法とも呼ばれるだけあって、まずは自分の知っている場所の記憶が必要になります。その場所というのは、訪れたことがある場所でも良いし、写真でしか見たことがない場所でもよいです。また、想像上の場所であっても構いませんが、場所を思い出すという作業が出てくるため、実際に訪れた場所、もしくは身近な場所である方が好ましいです。

 次に覚える対象が必要になりますが、それは何でも良いです。しかしここで、突飛なイメージに変換しなければなりません。例えば哲学の言葉や人について暗記するという場合、「プラトン」という言葉であれば、プラスチックの豚などを、先ほど用意した場所のどこかに配置します。なぜプラスチックの豚であるかは、察して頂きたいですが、どのようにそうした変換をするかは自由です。自分が元の言葉を思い出しやすく、想像しやすいビジュアルであることが大切です。

 さて、配置の仕方にもルールがあります。基本的に一つのまとまった体系であれば、ある一つの町や建物など、連続した場所にまとめて配置するのが良いでしょう。そして、その場所の起点を決めます。建物であれば入口でもよいでしょう。町であれば最寄りの駅でもよいですし、あなたの家でもよいです。その起点に、先ほどのプラスチックの豚を配置しましょう。出来るだけ大きなものを想像したり、どういう動きをしているかも想像しておくと、より印象に残ります。仮にここでは、最寄り駅の出口に配置したとしましょう。出口でその豚は人の服をかみちぎっています。人々がぎょっとしている姿が想像できます。

 次のものを配置する時は、場所を移動してそこへ配置するわけですが、基本的に右周りに移動するなど、ルールを決めておくとよいです。もしくは駅から自宅までの道、というように確実な道順に配置していく方が良いでしょう。

 これで記憶の宮殿の構築は終了です。次に思い出し方ですが、まずは起点がどこかを思い出します。すると場所から連想してプラスチックの豚を思い出します。後はなぜプラスチックの豚であったのかを思い出せば、「プラトン」という言葉が出てくるわけです。

まとめ

 記憶の宮殿をはじめとした記憶術は、どのように自分が記憶という作業をしているかを知るきっかけになると思います。僕は記憶は海のようなものであると思いました。文字を読むにも記憶は必要ですし、絶えず漂う記憶の中に生きているわけですが、そんな記憶の海の中に、きっかけという釣り針を入れると、一つの体系だった知識が意識の下に現れる、そのようなものであると思います。

 記憶の宮殿の構築は、下世話なものであるほど覚えやすいそうですが、せっかく自分の中に作るのであれば、どこかの美術館や博物館を元にして、音楽を流し、出来るだけ上品なイメージで構築していけば、記憶の宮殿を「歩く」という行為そのものが楽しいものになります。

コメント

人気の投稿