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世にも奇妙な人体実験の歴史:トレヴァー・ノートン 感想

人体実験

 科学の発展、特に医療の分野においては、生物を使ったテストというものがつきものです。しかしそうした実験には限界があるため、どこかで人間でテストしなければなりませんが、そういった必要な実験だけでなく、好奇心から試してみたものまで、人体実験の歴史というのは非常に幅広いです。薬物、圧力、病気など、人間の限界や、人間への影響は、人間を使わずして分からない時代がありました。今もそうした人間を試験体にするしかないようなことがあるのは事実ですが、現在であればやらなくてもいいような実験が繰り返されていました。

 さてこの本ですが、そうした実験は悲惨であった、という戒めのためではありません。こうした事実があったということが淡々と書かれています。事実の列挙にすぎないとも言えますが、科学、医学の発達と、意外と科学や医学は信用できない、ということについて考えさせられます。

 誤った知識による誤診や危険の薬物の使用もありましたし、製薬会社によるそうした事実の隠ぺいなどもありました。現代でも、メカニズムや危険性についてブログなどで言われているだけで、しっかりとした客観的データがないような怪しげなサプリメントなどが蔓延っています。そうしたものが危険であると身をもって証明してくれた科学者や医者がいました。この本では、そうした彼らの雄姿が垣間見れます。

 純粋にどんな人体実験があったのだろう、という興味がある方が読んでももちろん面白いですが、何が正しくて何が間違っているか、案外良く分かっていないものが使われていることなどが知れるので、そういったことを考えられる点でも非常に楽しめると思います。

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