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超ざっくり哲学史「ヒューム」

デイヴィッド・ヒューム

 ヒュームは、18世紀半ばに活躍した哲学者です。ヒュームは、認識論について、人は世界をどのように認識しているかについて考えています。彼は、認識、知覚を、「印象」と「観念」の二つに分けました。前者は、物を見る、だとか熱いだとかいう認知の領域で、後者は、思考や記憶などの理性の領域を意味しています。そしてそれぞれは、単純なものと複合なものとがあると考えました。分解できるものと出来ないものに分けたというわけです。

 観念というのは、思考だとか記憶だとかそういうことになりますが、考えというのは記憶を元に生まれますし、記憶というのは認知の経験が無ければなりません。つまり、観念は印象から生じるということになります。では逆はどうなのかというと、これはありえません。どれだけ記憶を掘り返しても、熱いという記憶は生まれますが、印象は生じません。

 これらの観念が結合して知識が生まれると彼は考えましたが、この結合という際に、因果関係という言葉を見出し、これについても考察しています。

 因果関係とは、その名の通り、原因と結果の関係のことですが、彼はそのようなことは存在しない、と考えました。原因と呼ばれる現象、事物と、結果と呼ばれるそれらの間には、必然的な結びつきなど無い、と考えたのです。現代に生きる僕たちからすると、この感覚は良く分からないかもしれませんので、もう少し詳しく考えてみたいと思います。

 例えば、ボールを手に持っているとしましょう。手を放すとボールは地に落ちます。これは重力が存在するから、というのが我々の認識ですが、ヒュームは、重力が働くからボールが落ちた、ということは「重力が働く」という事実と「ボールが落ちた」という事実を自分の中で結び着けただけである、つまり因果関係というものは人の中にしか存在しない、と考えたのです。重力が働いているということ、ボールが落ちるということは経験が出来ますが、それらの間にある因果については経験が出来ないのです。

まとめ

 ヒュームは、物事の間に必然的な結びつきはないと考えました。物事はそれぞれ独立にただあるだけであり、それらを自分たちが結び着けているのだと考えました。

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