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会話の中での沈黙

沈黙

 会話において沈黙の役割とは、なんでしょう。人に威圧感を与える、考える時間を与える、反応を伺うなど様々な役割があると思いますが、共通することは、相手が何かを考える時間が生まれる、ということです。話の流れや、話す人の恰好や状況においては、それが威圧感であったり、場合によっては安心感につながるかもしれません。

 ここでは、沈黙を、意図して作った会話のない時間という風にしておきます。会話のテンポを遅くして、話さない時間が生まれる、というものとは区別しておきます。

話さない人と話せない人

 沈黙が効果的に使える人というのは、普段人と話せる人であると思います。ある程度コミュニケーション能力があって初めて沈黙は生きてきます。会話を生み出すことが出来るけど、あえて沈黙という手段を選ぶ、というのが正しい使いかたであると思います。中には、邪道な使い方というか、普段から沈黙を貫いて、必要なときだけ話すという方もいます。しかし、そういう人も話せないから黙っているわけではありません。話せるが話さないという、これも上と同じ理由です。

 では、話せず沈黙を選択する、せざるを得ない人はどう見られるのでしょう。話せないということで黙る場合は、人間関係というものに興味を持たない、または興味を持っている素振りを見せないことが重要ではないでしょうか。人と話したいという思いがあるのなら、そもそも沈黙という手段を選ぶことに無理があるので、まずは基本的なコミュニケーションが出来るようになってからだと思います。

沈黙を使う時

 相手に考えさせる時間を作るといいましたが、何を考えさせたいか、ということが沈黙を使うときの条件です。反省させたいのか、こちらに注意を向けさせたいのか、など色々あります。目的によって使い分ける、と言えばよいでしょうか。

 相手に考えさせることのメリットとして、人は他人から言われたことよりも自分でたどり着いたことの方が重要だと思う傾向があるので、何か注意するとき(指摘するとき)などは効果的だと思います。しかし沈黙は威圧感も与えます。権力や地位などと沈黙が結びつくとたやすく威圧感に化けてしまいます。意図して威圧したい場合を除いて、顔は無表情ではない方がよいです。

注意を自分に向けさせる

 お笑い芸人が良くやるのを見ますが、笑いがおさまるまで沈黙を貫くということをしています。これはお客さんがその笑いをかみしめる時間でもありますが、改めて自分たちに注意を向けさせることでもあります。会場から笑いが起こると、注意は周りへと散乱してしまうからでしょう。

 自分に注意を向けさせることの一つで沈黙という手段をとるのも良いでしょう。学校の先生も良くやっていたことではありますが、「静かになるのに何分かかりました」のような言葉は必要なのでしょうか。自発的に気付かせ、注意を向けさせるという場の空気を支配する力が沈黙にはあると思います。

場の空気を支配する

 意図して作る沈黙は、相手に心の準備をさせます。相手は色々考え、勝手にこちらの要求について様々なことを想像します。意図した沈黙は集団においても効果を発揮します。ですが、一体どれだけ沈黙すれば良いのでしょうか。あまりに短い時間であると、妙な間が生まれたという違和感しか生みません。思い切って長くとることが大切です。

 人は空気を読んで行動しますから、周りの人間が静かであれば同じように静かにします。図書館や美術館で人が静かにするのは、ある種の厳かな雰囲気が立ち込めているのもあります。場の雰囲気を作り出すことにも、沈黙、静寂というのは関わってきます。

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