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超ざっくり哲学史「デカルト」

デカルトとは

 ルネ・デカルトは16世紀の終わりから17世紀の半ばの人物で、数学者であり哲学者
でした。「我思う、故に我あり」という言葉が特に有名でしょうか。この言葉については後で紹介するので、まずはデカルトの生涯などについて語ろうと思います。

 デカルトは、10代の頃イエズス会の学校に通っており、非常に優秀な生徒であったようです。この学校では、哲学の一部や、数学など様々な学問を教えており、そうした中でデカルトは、少しずつ知識を蓄えていきました。特に数学が好きであったようで、数学的手法を議論などに取り入れていました。

 この頃デカルトは大量の本を読んでいたようですが、百聞は一見に如かずの精神か、紙の書物よりも現実という書物を知ろうとして、卒業後はヨーロッパ中を旅することになります。その旅の中で、デカルトは様々な人や学者に出会い、さらに知性が磨かれていくこととなります。

 デカルトは50代で亡くなりましたが、彼の残した影響というのはとても大きく、近代哲学の礎を築いたと言っても過言ではありません。

思想

 まずは「我思う、故に我あり」、これはデカルト自身の言葉ではないという説もありますが、似たようなことは言っています。これについてですが、これは以前の懐疑主義の話に通じるところがあります。というのも、あらゆるものを積極的に疑っていき、正しくないと分かれば排除していく、という作業を彼は続けたからです。

 この世の物質は自身の認識でしかとらえることは出来ませんが、その認識自体正しいとは言えません。外部の全てのものの存在が怪しくなったので、では内はどうかと見ると、「自己について」という時にも考察しましたが、自分自身も正しいと言えるような本質はないように思います。では何もないのかと言えばそうではありません。全ての存在を疑っている「私」がいることだけは確かなようです。この世の全ては存在するかどうかは分からないが、少なくともそう疑っている私はいる、というのが、「我思う、故に我あり」ということだと思います。

 また彼は数学的手法をもって、考察を続けていきましたが、その姿勢は現代で言う合理主義に近いものがありました。上のように、彼は不確かなものを排除していき、少なくとも、考えている自分は存在すると結論付けましたが、もう一つ、確かなもの、完全なものを発見しました。これがデカルトの弱い部分だと言われることもありますが、紹介しておきます。

 彼が発見した確かなもの、完全なもの、というのは「神」でした。彼の中では、神は完全性が備わった概念だったので、存在することが出来る、という完全性から、神は存在するという結論に至りました。もしも存在しない、存在できないのであれば、完全であることに矛盾するので、神は存在すると彼は考えたのです。

 しかし、論理的に言うと、ある命題で過程が間違っているならば、どんな結論であってもその命題は正しい、ということが言えるので、神は完全である、という前提が間違っていたとしたら、上の議論は意味をなさないことになってしまいます。ただ、その前提の真偽に関しては、信仰という道しか残されていないように思うので、そのような結論に至ったのは、幼少期にキリスト教が身近にあったことが原因なのだと思います。

 そうして彼は、考える私、そして完全なる神が存在することを知りました。ここで彼は再び外に目を向けます。外の世界は本当に存在するかどうかをもう一度考えることにしたのです。以前行った作業ですが、今回は、二つの事実を得ていますから、それによって発見があるかもしれません。
 
 それでもやはり外界は感覚器官を通してしか認識出来ませんし、その認識が正しいかどうかも言い切ることは出来ませんでした。こうした感覚器官の対象「質的特性」は、存在するかどうかは分かりませんでしたが、数字に関わるもの、長さや重さなど、理性で認識できる対象「量的特性」は存在すると考えました。これは思考という世界でしか現れない量ですが、思考する自分は存在するという事実があるわけですから、「量的特性」は存在する、と結論付けました。

 ここで新しく武器を手に入れたので、再度外界に目を向けます。「量的特性」が存在するのなら、計る対象である外界のものは存在するはず、と考えます。これの根拠として、彼は「完全なる神」を持ちだします。神は完全であるので、理性をだますはずはないと考え、外の世界も存在するとしました。

 しかし、外の現実と思考の中の現実は違う性質を持ちます。デカルトは、ここに二つの異なる形の現実、これを「実体」というように言いますが、があると考えます。一つは、「思惟するもの」、つまり思考や意識というのは、空間に場所をとらないものである、という考えです。もう一つは、「延長」と言って、物体は空間に場所をとるものであるという考えです。

まとめ

 デカルトは、積極的に全てを疑い、確かなものを見つけ出そうとしました。そうした姿勢は近代哲学の基礎を作り、また合理主義にもつながっていきました。また、彼は世界を意識の世界と外界の世界にはっきりと分けて考えを進めていきました。
「スピノザ」

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