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超ざっくり哲学史「アリストテレス」

「神話、ミレトスの学者」
「無と有、万物は流転する」

アリストテレス

プラトンの弟子

 紀元前350年頃、プラトンのアカデメイアで20年間学んだ、アリストテレスという人がいました。彼は、プラトンのイデア論を受け継いだのでしょうか。彼はプラトンの元で学んだにも関わらず、師とは逆の考え方をしました。

 プラトンが自然界からより抽象的な世界に目を向けたのに対し、アリストテレスは昔の哲学者のように、自然を観察しました彼はプラトンと反対に感覚の世界を追及していたので、師が考え出した「イデア」という概念に対しても疑問を持ち、反論しています。りんごの例で言えば、僕たちは自分の中に初めから「真のりんご像」を持っているのではなく、数多くのりんごを見てきて、その平均的概念が頭の中にあるのだと考えました。

 アリストテレスは、人間が、無意識に物事を分類してしまう能力があることに目を付け、師の考えを否定したのです。暗闇の木の枝が幽霊に見えたのも、木目が人の顔に見えるのも、そうした人間の判別する機能から生じたものでした。

 アリストテレスは分類する、ということにこだわったのか、生物に共通するもの毎に分類したりと、世界に境界線を引いていきます。そして、彼は膨大な観察と考察により、現在まで続く学問の礎を気付きました。それは倫理学、生物学、形而上学、政治学など多岐にわたります。

 後のアレクサンドロス大王の師となるなど、教育者としても優秀であったようで、最終的には「リュケイオン」という学園を設立しています。

思想

 彼は万物は、「質料」という物事の材料、そして「形相」というそのものの固有の性質から出来ていると考えました。りんごで言えば、水分であったり、繊維であったりそういう材料が質量、食べるものというのが形相、ということになります。

 さらに、「形相」は「作用因」、「形相因」、「目的因」に分かれると言います。「形相因」に関しては、先とほぼ同じ意味ですが、「作用因」は、運動や変化をもたらす源、「目的因」はそれらが目指しているところを言います。りんごで言えば、育ち、腐っていく原因を「作用因」、種をまくために育っているとするのが「目的因」です。後者は、食べられるためとしてもよいかもしれませんが。

 こうして、アリストテレスはものはそれぞれ特性を持っていると考えました。そして、それを元に、有機物と無機物の違いは、植物と動物の違いは、人間と動物の違いは何かを追求しました。彼は特性ごとに分類した結果、やはり動物と人間の違いは理性があるかどうかであると考え付きます。

倫理学

 彼は幸せや、徳というものについても考えを巡らせています。人間の行いというのは全てに目的があり、それらの目的の一番上には、それ自身が目的である「最上善」が存在する、としています。幸福とは、ただ快楽や満足に生きるのではなく、政治に参加し、理性を発展させることであると説いたのです。

 また、徳について、「中庸」の考えを持っていました。これは簡単に言ってしまうと、丁度良く、ということになるでしょうか。例えば小食はいけないが、食べすぎも良くない。丁度が一番良い、というように説いています。

宇宙論

 様々なものを観察していたアリストテレスですが、天体に関しては観察も考察も一歩及びませんでした。彼は、天体が地球の周りを回っているという、天動説を支持していました。

 地球の周りには、月、太陽などの層があるとし、その一番外側に、全ての原因である「第一起動者」または「神」がいると考えたのでした。この考えは、後々まで受け継がれることになります。天動説は、後に登場するキリスト教などにとって、都合が良かったということもあります。

まとめ

 アリストテレスは師プラトンの考えを否定し、感覚によって世界を観察しました。そして、現在の学問の基礎を作り上げ、学校を作るなどの貢献をしますが、彼の宇宙観は後々まで影響を与えることになります。
「ヘレニズム」

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